先に伝えておきたい3つのポイント
- ブライダルチェックとは、妊娠や出産に関する器官を検査する健康診断
- 不妊の原因を検査するブライダルチェックは男女共に受診可能
- ブライダルチェックには自宅でできる郵送検診もある
結婚前にブライダルチェックを
「ブライダルチェック」という言葉を聞いたことはありますか?結婚式を控え、当店にブライダルインナーを下見に訪れる花嫁さんたちと話をしていると、すでに受けている方が多いことに気付きました。
受ける年齢層も幅広く、30代後半の方もいれば20歳そこそこの若い方も。このネーミングだけを見ると、知らない方は結婚式関係の行事なのかな?と勘違いしそうですよね。
そこで、今回はブライダルチェックの正しい意味と受けたほうが良い理由を知ってもらおうと思います。
ブライダルチェックとはどんなことをするの?
まず、ブライダルチェックの定義について知っておきましょう。
具体的な検査項目は人によって異なり、カウンセリングや希望の検査の相談をしたうえで決定されることも多いようです。ここでは、主に行われる検査をご紹介します。
・内診
医師が外陰部や膣内を目視して、炎症や感染症がないかを確認します。さらに、膣内を触診して子宮や卵巣の状態を診察します。
・超音波検査
超音波を出す「経腟プローブ」という棒のような装置を膣内に挿入。子宮内部や卵巣に異常がないかをモニターで確認し、子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣のう腫といった病気がないかを調べます。
・血液検査
血液を採取して、赤血球の数やヘモグロビン濃度を調べて貧血の有無をチェック。さらに血糖、腎機能、肝機能に異常がないかをチェックする場合もあります。貧血や腎臓病、糖尿病や肝臓病があると、妊娠中母体や赤ちゃんにトラブルが発生する可能性が高くなる場合があります。
また、風疹は妊娠中にかかると赤ちゃんに障害が起きる危険性があるため、その抗体(免疫)があるかどうかも調べます。
・性感染症(STD)の検査
梅毒、クラミジア、淋菌感染症などの性感染症をそのままにしておくと、将来流産や早産、その他不妊の原因になったり、妊娠中に赤ちゃんに感染して障害の原因になったりする恐れがあります。検査方法は感染症ごとに異なりますが、血液やおりものなどを採取して感染していないかを調べます。
・子宮頸がん・体がん検査
ブラシのような器具で皮膚を軽くこすって細胞を採取し、異常がないかを調べます。子宮頸がん検査では、子宮頚部(子宮と膣をつなぐ部分)の粘膜から細胞を採取する「子宮頚部細胞診」、子宮体がん検査では、子宮内から細胞採取を行う「子宮体部細胞診」を行うのが一般的です。
・AMH(血液検査)
AMHとは、抗ミュラー管ホルモンと呼ばれる女性ホルモンの一種で、卵巣の中にある成長途中の卵胞から分泌されます。卵巣予備能を調べる検査で、卵巣年齢検査とも言われています。原始卵胞が少なってくるとAMHの値は低くなります。AMH検査は、不妊治療可能期間の目安や残っている卵子をどう有効活用するかといった判断に有効な検査です。
ブライダルチェックの費用は健康保険が適用されないため、検査項目によって変動しますが、大体2万円~4万円の場合が多いようです。
受ける時期はよく考えて
ブライダルチェックは結婚を控えた女性が受けるケースが多いですが、結婚式と重なると時間を作るのが大変でバタバタしてしまいがち。
ただでさえ結婚式は、ドレス試着やインナー選び、席次表決めに引き出物のチョイスなどやることがたくさんあります。
ベストな時期は、結婚式の準備と重ならない挙式2~3か月前が理想です。
病院に予約を入れる、場合によっては日をまたいで検査をするなど、トータルで数週間かかる場合も考えられます。
万が一、不妊の原因になり得る病気や症状が見つかった際、治療期間も考慮すると、すぐにでもブライダルチェックを受けておいて損はありません。
現代の女性は、昔の女性に比べて婦人科の病気にかかりやすい条件がそろっています。昔の女性に比べて出産回数が少ないため、月経(排卵)の回数が多いです。排卵は、卵巣に負担を与えるため、子宮内膜症や子宮筋腫などといった病気のリスクが高まりますので、ぜひブライダルチェックを受けてみてください。
また、生理中で出血量が多いときは検査の精度に影響が出る恐れがあるため、生理中に受けるのは避けましょう。
女性だけでなく、男性も受けられる!
不妊の悩みや原因といった話題になると、女性ばかりクローズアップされがちですが、妊娠は夫婦で協力して初めて成り立つものですよね。
不妊の原因の半分近くは男性に原因があるとも言われています。とはいえ受診するのは女性以上に抵抗があるうえ、お客様と話をしていると、ブライダルチェックは女性だけのものだと考えている男性も多いのだなと実感します。
男性のブライダルチェックは泌尿器科や性病科などの医療機関で検査できます。首都圏では男性用のブライダルチェックを行うメンズヘルスクリニック(不妊治療を主とする)もあり、徐々に認知度が高まっているようです。妊娠・出産を希望しているのなら、夫婦で話し合って同じタイミングで受診するのが望ましいですね。
男性が行うブライダルチェックは、生殖機能を調べるだけではありません。ここ数年、男性の感染例が非常に増えている風疹の抗体の有無もチェックできます。赤ちゃんを守るため、ブライダルチェックの際には必ず抗体の有無について検査し、必要であれば予防接種を受けてください。
受けるのをためらっている方へ
ブライダルインナーを試着する時は、脱ぎ着する必要があるため多少開放的な気分になるのか、女性特有のデリケートな悩みを相談されるお客様も少なくありません。
ブライダルチェックの知識はあり、将来子どもが欲しいので興味もあるけれど、多忙で受ける時間がない、婦人科へ行くのが恥ずかしい、内診や触診で患部を見られることに抵抗があるなど、婦人科での検診を敬遠する女性は想像以上に多い印象があります。
とは言っても、自分で判断することは危険ですので、あまり気負わずに婦人科を受診してみることをおすすめしています。
ただ、どうしても都合がつかないという場合は、自宅で好きな時間に実施できる「郵送健診」を活用してみるのも一つの手。
1回の検査で複数の病気を調べられますし、医療機関と同等の信頼性があると言われています。検査結果は、WEBやスマホで自分だけが確認できますのでプライバシーもしっかり守られていますよ。