弾性ストッキングはリンパ浮腫の圧迫療法に用いられる治療用ストッキングです。圧迫力が高いため、非常にきつく、着脱が難しいと感じる方もいます。
しかし、簡単に着用できるものでは圧が弱すぎて治療の効果を得られないこともあります。また、症状に合わせて指示された圧であるため、自己判断で勝手に圧を変えることはできません。
では、実際に履きにくいと感じた場合、どのような対処法があるのか見ていきましょう。
弾性ストッキングは履きにくいもの?
リンパ浮腫治療用の弾性ストッキングは、市販されている着圧ストッキングよりも圧が高い設計で作られています。
市販の着圧ストッキングの圧の表示は「ヘクトパスカル(hPa)」ですが、リンパ浮腫治療用弾性ストッキングは「トル(mmHg)」で表記されているのが一般的です。表示されている「数字」が一緒でも、単位が異なると圧力は全く違います。
例えば、40hPaと表記されているものはおおよそ30mmHgの圧力です。40mmHgではありませんので注意してください。
リンパ浮腫治療用の弾性ストッキングは市販の着圧ストッキングより圧迫力が強いため、履くのにはコツが必要です。
症状に合わせた圧クラスを指示される
リンパ浮腫治療用弾性ストッキングの圧を決めるのは、医師や医療従事者です。患者の方一人ひとりの症状に最も適していると判断された圧力が指示されます。個人で圧迫数値を決めたり、きついからといって勝手に低い圧に変えることは治療の効果を損ねる可能性がありますので絶対にしないでください。どうしても履くのが困難な場合は、あらためて医師や医療従事者に相談してください。
履きにくいと感じたときの対処法
弾性ストッキングは圧が強いため、着用に時間がかかります。とくに着脱に慣れないうちは非常に履きにくく感じるでしょう。
ここでは履きにくいと感じた場合の対処法をご紹介します。
ゴム手袋や補助してくれる用具・器具を使う
水仕事用のゴム手袋や指の腹と手のひらにゴムが貼ってある作業用の手袋を使う方法があります。このような手袋を使うと滑りにくくなり、きつい弾性ストッキングでも伸ばしやすくなります。
弾性着衣(ストッキングやスリーブ等)の構造上、足用であれば足首、腕用であれば手首に入れるのが最も大変です。
「グライダー」と呼ばれるスリッパのような形状の滑りのよい布でできた用具を使用して、まずは手首・足首を通しましょう。ブランドによってはグライダーが付属している場合もあります。
それでもきつくて大変というときには、ストッキング・ドナーといわれる器具を使用して着用します。(※ブランドごとに器具の名称は異なります)
圧の弱いものを二重に履く
どうしてもきつくて履くことができない場合、弱い圧のものを重ねて履くという選択肢もあります。
ここでの注意点は、「弱い圧のものを二重にしたからといって、単純に2枚の圧の合計がかかるわけではない」ということです。弱い圧の弾性ストッキングを重ねて履く場合は医師や医療従事者の判断に従うことが大切です。
自己判断ではなく必ず医師に相談しましょう
リンパ浮腫治療用の弾性ストッキングは、誰でも購入できるものではありません。
リンパ浮腫を治療するための「治療具」となるため、使用には医師や医療従事者の判断が必要です。指示された圧がきつくて継続して使用するのが困難という方は、必ず医師に相談しましょう。