先に伝えておきたい3つのポイント
- 乳房再建術後は肌への刺激が少なく通気性の良いインナーを選ぶようにする
- 術後の経過に合わせておすすめのインナーは変わる
- KEA工房はボディケアインナーの試着とカウンセリングにこだわっている
乳房再建術にはエキスパンダーを挿入し、拡張した後にシリコンパットを入れる人工乳房再建術(シリコン・インプラント法)と、自分のおなかやお尻、背中などの組織を乳房の位置に移動して形成する自家組織再建術という2つの方法に大きく分けられます。
どちらも個人差はございますが、乳房が安定するまでに約1年以上かかるといわれており、手術後の乳房は大変デリケートなため、やさしく保護することが大切です。
インナー選びのポイントとしては、肌への刺激が少なく通気性のよいものを選ぶことです。
また、手術で切除した位置や範囲、回復状態、傷に触れたときの感じ方などは一人ひとり違うので、ご自分の体調に考慮しながら必要なものを選ぶとよいでしょう。今回は、乳房再建手術後のインナーの選び方をご紹介します。
術後に使用するブラジャーはどのように選ぶ?
それでは、人工乳房再建術と自家組織再建術のそれぞれの時期別に、どのようなタイプのインナーがおすすめかを見ていきましょう。
【人工乳房再建術】再建手術後〜1か月程度
人工乳房再建はエキスパンダーにより十分な皮膚の伸展を得た後に、人工乳房(シリコン・インプラント)と入れ替えます。
エキスパンダーでの拡張は、皮膚の様子を見ながら徐々に行われていきますので多少左右差が生じます。
初めのうちは手術側が小さいですが、進展があると手術側の方が大きくなりやすいです。
1か月ほどは痛みがあるので、ソフトな着心地の「ホスピタブルロング」がおすすめです。
入院中や通院中は診察や検査で脱ぎ着する機会が多いため、着脱がラクな前開きタイプが適しています。
また、胸元の開きがあまり大きくなく、患部をしっかり覆ってくれるものを選びましょう。
左右差が生じた場合に備えてホスピタブル用パットなど薄手の補整パッドも一緒に準備しておくと、退院後の外出もスムーズにできます。
【人工乳房再建】乳房再建手術後1か月~痛みが落ち着くまで
皮膚の拡張中は、エキスパンダーが脇や胸の上部に移動してしまうなど、安定しない方も中にはいらっしゃいます。
そこで、エキスパンダーの位置を固定するのにおすすめなのが再建術後用ベルトです。
再建術後用ベルトには、バスト上部のみの『アッパータイプ』
アンダーも同時に固定してくれる『上下タイプ』の2種類があります。
マジックテープでの前開閉なので装着も簡単です。柔らかい生地と薄いゴム製なので身体にしっかりフィットします。
ベルトがずれないよう、身体に合わせてぴったりのものを作成できるため安心です。
ご使用を検討される方は医師に相談のうえ、肌に直接使用せずにノンワイヤーの下着(肌着)の上から着用してくださいね。
他にもエキスパンダーを使用される方におススメの下着には左右分離型の下着バタフライがあります。
人工乳房再建の為に形成外科医が考案されたブラジャーで、それぞれぴったりのサイズのカップを選択装着できるという便利なインナーです。
後ろと前にホックがあり組み合わせも自由!異なるサイズでの組み合わせも可能なので左右差があった場合でもパットでの調整は要りません。
優しい生地とノンワイヤーで術後の肌にも負担は少ないつくりです。
【人工乳房再建】乳房再建手術後から1年ほど経過
エキスパンダーでの進展を終えシリコンパットを挿入した後、再建した胸が安定し患部が落ち着いたら、乳がん手術後専用ブラジャーを使用できます。
シリコンパット挿入後に気を付けないといけないポイントとして、手術していない自胸側をいかに下垂させないかということがあります。
しかし、胸を定位置でキープする効果のあるワイヤー入りのブラジャーはシリコンパットを傷めてしまう可能性もあるので極力控えましょう。
「でも、下垂も気になる…」という方には、おすすめなのがKEA工房に併設している『お直し工房』です。
ここでは、ブラジャーのワイヤーを抜く加工ができるので、再建術側のワイヤーは抜き、自胸はそのままワイヤーありで仕上げることができます。
別途追加料金をいただく可能性もありますが、他のメーカーのものでも加工できますので、お気に入りのブラジャーを長く使えて経済的でもありますね。
ただし、ワイヤーブラジャーはワイヤーがあっての機能性があるデザインです。
そのため、中には加工が難しいワイヤーブラジャーもあります。
ワイヤーを抜いたことによってバストに合いにくくなる場合もあるのでまずは、加工が可能かKEA工房のスタッフに必ずご相談ください。
他にも、ノンワイヤーでも補整力のしっかりとしたブラジャーもあります。
サロンでは試着もできますのでご自身の体にフィットするブラジャーを身につけて、おしゃれを楽しみましょう。
【自家組織再建術】再建手術後〜1か月程度
手術から間もないこの時期には、再建手術をした乳房はもちろん、他の手術箇所のケアも必要です。
腹直筋皮弁法(乳房に腹部の組織を移植する再建手術)では、腹直筋を切り取るため、腹筋の力が弱くなります。
手術後数か月は、腹筋力を補助するため、ガードルや腹帯でおなか周りを圧迫することが必要です。
KEA工房のオリジナルガードルはウエストに幅広の伸縮性のある幅広レースを使用しています。
市販のようなゴムウエストではないので苦しくなく、均一にお腹にフィットするため痕も付きにくく術後でも安心して着用いただけます。
この時期のバストのケアとしておすすめなのが、人工乳房再建術の項目でご紹介したのと同じ前開きのノンワイヤーブラジャー「ホスピタブルロング」です。
外からの衝撃や痛みに備えて小さめの手作りパットや「ホスピタブル用パット」など薄手の補整パッドも一緒に準備しておくと安心です。
【自家組織再建術】乳房再建手術後1か月~痛みが落ち着くまで
自家組織再建では移動させた後の組織の流れを防ぎ、あるべき場所にとどめることが大事です。
ポイントとしては脇とアンダーバストのサポートです。その際にポイントとなるのが、脇とアンダーバストのサポートです。その2つのポイントのサポートがあまい場合、定着に支障をきたす可能性もあるため、注意が必要です。(※個人差あり)
この時期の下着の選び方は脇高であることと、アンダーバストの締め付けが程よくあることを念頭に選びましょう。KEA工房では自家組織再建術用にデザインされたブラジャー「ドリームブラプラス」があります。
「ドリームブラプラス」は、バストとアンダーの2カ所で締め付けを調整でき、伸縮性のある柔らかな素材で脇からバストを優しく寄せてくれます。
また、ナイトブラとしても紹介している「ここちブラ」は脇高の設計でアンダー部分も太めでしっかりしているため、自家組織再建術の方の普段用下着としても選ばれています。
【自家組織再建術】乳房再建手術後から1年ほど経過
基本的にブラジャーは使用できますが、ワイヤーはソフトなものや、肌に負担の少ない構造のほうがよいです。
心配な方は一度担当医師に確認しておくことをおすすめします。
医師からのアドバイスを参考にしたうえで、乳がん専用の下着を取り扱っている専門店でフィッティングしてもらうとより安心です。
術後も自分らしく過ごすためのインナー選び
乳房再建手術となると、初めてのことに誰でも不安になるものです。
特に術後は、傷口が気になったり想像以上に体を動かしにくかったりと、体の心配はもちろん、この先の人生を思い悩んでしまうことも多いでしょう。
そのような不安な気持ちをほんの少しでも軽くして、日々の生活を快適に過ごしていただくために、KEA工房では試着とカウンセリングにこだわっています。
ボディケアインナーのご試着はもちろん、インナーの加工やお直しのご相談を承ります。
試着予約はインターネットからも受け付けているので、どうぞお気軽にお越しください。
参考資料:がん研有明病院
乳房再建の方法│乳房再建をお考えの方へ
https://www.jfcr.or.jp/hospital/department/clinic/general/plastic_surgery/breast/003.html