先に伝えておきたい3つのポイント
- 食事の傾向で変わるといわれる、乳がんの羅患率
- 乳がんの発症率を抑えるといわれる大豆の可能性
- 乳がん予防につながるバランスのよい食生活や適度の運動はホルモンバランスを整える
近年、乳がんになった有名人のニュースが
取り上げられることが多く感じられるようになりました。
乳がんは日本人女性がかかるがんのなかでも上位に入るほど多くなっています。
これは日本人の生活スタイルの変化が原因とも言われており、
食事パターンもそのひとつです。(※食事以外にも原因は諸説あります)
食事のパターンを変えることでリスクを少しでも減らせたらいいですよね。
では、乳がんになりやすいといわれている食事や、そうならないように工夫することができる食事があるか考えてみましょう。
日本の乳がん事情
厚生労働省による人口動態統計によると、一生のうちで
1度でも乳がんにかかる人は、日本人女性だと12人に1人と言われています。
乳がんはこの20年ほどで一気に羅患率が増えました。
昔は40代後半から閉経間際の女性に多いがんでしたが、
最近は20代後半~30代など比較的若い女性でも発症することもある、身近で怖い病気です。
しかし、乳がんは早期発見で適切な治療を行えば、生存率が高いがんです。
若いうちから定期的に受診して体の状態をチェックしましょう。
欧米の羅患率にヒントが隠されているのかも
日本の12人に1人という羅患率にも驚きますが、
欧米ではもっと高いです。
例えばアメリカなら羅患率は6~7人に1人。
日本の倍ほどありますね。
どうして欧米はこんなに羅患率が高いのかというと、
食事パターンが関係していると考えられています。
日本の食事は「たくさんの栄養素を少しずつ摂る」内容になっていますが、
欧米の食事は「1種類をたくさん食べる」傾向があります。
例えば、マッシュポテトとハンバーグがドン!と
大量にお皿に盛られている光景を海外ドラマや映画などでもよく目にしますよね。
この、高カロリーな単品を多く摂取する食生活が乳がんの羅患率に関係しているのではないか、
食事が欧米化していることで日本人のなかでも乳がんが増えてきているのではないか、
という説が有力視されています。(※理由には諸説あります)
昔の日本の食事と言えば、野菜と魚が中心の和食でした。
それが近年どんどん食の欧米化が進み、
これまであまり主流ではなかった肉や乳製品などを多く摂るようになりました。
このことが日本人の乳がん羅患率と関係している可能性が高いそうです。
それを納得させるデータとして、
「同じ日本人でも欧米に移住した人の方が、
日本に住み続けている人よりも乳がんになる率が高い」
というものがあります。
【医療プレミア~女性が学ぶがん情報~】
>なぜ、乳がんは増えているの? 予防はできる?
http://mainichi.jp/premier/health/articles/20160108/med/00m/010/017000c
乳がんにおける「食生活」と「ホルモン」の関係
人間の体には「ホルモン」という物質があるのはご存じのことでしょう。
このホルモンの量によって体調に変化が起きます。乳がんの発症もそのひとつです。
欧米の食事はカロリーが高く栄養が偏りがちです。
そのため、肥満になりやすいと言われていますが、
肥満はホルモン量に影響します。
子どもの頃から高カロリーのものばかりを食べて育つと過剰にカロリーを摂取することになり、
早期に初潮が来たり、高身長になったりする可能性もあります。
これらもホルモンバランスが大きく影響しています。
このように、過剰なカロリー摂取はホルモンに影響を与え、
乳がんの発生確率を高くすると考えられているのです。
乳がんになりやすいと言われている食べ物
現在、世界中で乳がんに関する研究が進んでいます。
そのなかで、乳がんと食生活の関連についても日々調べられているようです。
そこで、研究で乳がんになりやすいのではないかと言われている食べ物についてご紹介します。
乳がんになりやすいと言われている食べ物には、
例えば、肉や油、動物性乳製品(牛乳やチーズなど)やアルコールが挙げられます。
では、これらの食べ物を避けて生活すれば、乳がんにはならないのでしょうか?
日本乳癌学会のホームページでは、
乳がんと食生活の関連についての論文などを掲載しており、
その信ぴょう性を表すために「推奨グレード」が表記されています。
A:確実
B:ほぼ確実
C1:可能性あり
C2:証拠不十分
D:大きな関連なし
食べ物に関するデータはC1やC2が多く、
まだまだ「この食べ物を食べ続けると乳がんになる」とは
言い切ることができない部分もあるようです。
したがって、欧米人が好む肉や動物性乳製品を避けて食事を摂れば
乳がんにはならない、というわけではありません。
しかし食事パターンと羅患率を考えると、欧米人の好む食事パターンが
乳がんと何らかの関係があるのではないか、という印象が強いのも分かりますね。
日本人になじみの「大豆」が乳がんを防ぐ?
さきほどお伝えしたように、乳がんと関係があると言われている食べ物はいくつかあります。
一方で、そうならないために工夫できる食べ物や食事もあります。
その代表が「大豆」です。
大豆には「イソフラボン」という成分がありますが、
この成分が乳がんになりやすいホルモンを抑えてくれる役割があるようで、
味噌汁や豆腐など大豆製品を普段から多く食べている人の方が
乳がんの発症率は低いと考えられています。
日本人は昔から大豆製品を食べる習慣がありました。
醤油、味噌、豆腐、油揚げ、納豆・・・全て大豆製品です。
「私は何日も大豆製品を食べていない」なんて人は、
かなり食生活が欧米化している可能性があります。
この欧米化した食生活が、体内のホルモンバランスを崩し
乳がんを発症しやすくしているのかもしれませんね。
バランスのとれた食生活や運動は、健康体への第一歩
乳がんは意外と身近な病気です。12人に1人がかかると言われているこのがんは、
食事パターンだけで完全に予防することは難しいでしょう。
しかし、乳がんになりやすいと言われている食材を控えて、
大豆を多く摂る食事を続けるのは、健康面で大きなプラスになるでしょう。
もちろん大豆ばかりを摂取するのではなく、バランスの良い食事がまずは大切です。
食生活に気をつけることはホルモンバランスを整え、健康な体へと導いてくれます。
がんを予防するのはもちろん、乳がんを発症して手術を受けた後も、
がんに打ち勝つことのできる健康な体を目指しましょう。
そのためには食生活はもちろん、「適度な運動」や「ストレスを溜めないこと」も大切です。
私たちKEA工房では、術後のリハビリになる体操やダンス、
リラックスできるアロマテラピーなど、
乳がんを経験した方の少しでもお役に立てるように専門の講師をお招きし、
「乳がん・婦人科がん術後講習会」を開催しています。
どうぞお気軽にお問い合わせください。