前回の記事の「表示されている圧について」の項で、mmHgという単位が出てきましたが、この単位がよくわからないというご質問をいただきましたので、少し説明しておきたいと思います。
mmHgは血圧計などで使用される圧力の単位で、ミリ水銀とかミリハーゲンと読みます。
現在では、圧力の単位はhPa(ヘクトパスカル)に国際的に統一されておりますが、リンパ浮腫治療に用いる弾性着衣では両方が表記されていることが多く、治療者側はmmHgを利用しているのが一般的です。
国内で一般に販売されている着圧ストッキング(ドラッグストアで購入できる夜用や昼用の圧迫力のあるストッキング)の表記はhPaになっているので、mmHgが同じ圧力だと誤解される例も少なくありません。ドラッグストアで購入できる着圧ストッキングは、通常夜用で21hPa、昼用で30hPa程度です。これをmmHgに換算すると、21hPaは15.8mmHg、30hPaは22.5mmHgになります。リンパ浮腫治療で使用する弾性着衣は基準が30mmHg(約40hPa)ですので、その強さがわかるかと思います。
さて、今回は弾性着衣を選ぶ際の基準についてです。
既製品を選ぶか、オーダーメイドを選ぶか
(1) ステージ0:処方無し
(2) ステージ1:既製品
(3) ステージ2:以下のいずれかに当てはまる場合は「オーダーメイド」、いずれにも当てはまらない場合は「既製品」を処方します。
① 1日の容積の変動が既製品の1サイズの幅を超える
(朝はMサイズだが、夜はLサイズのような場合)
② 形状の変化が既製品の1サイズの幅を超える
(手首はMサイズだが、上腕はLLというような場合)
③ 左右の周径差が既製品の1サイズの幅を超える
(患肢がLLサイズで健側がMサイズというような例)
(4)ステージ3:原則的にバンデージ(弾性包帯)を処方
丸編み・平編みのどちらを選ぶか
(1)ステージ0:処方無し
(2)ステージ1:丸編み
(3)ステージ2:以下のうち2つ以上が当てはまる場合は「平編み」、そうでない場合は「丸編み」
① 1日の中で患肢を下垂している時間が長い
② 自分で弾性包帯を巻くことがうまくできない
③ 1日の容積変化が多い
④ 患者本人が希望する
(4)ステージ3:原則的にバンデージ(弾性包帯)を処方
圧の選択
(1)ステージ0:処方無し
(2)ステージ1:30mmHg(身体状況によっては20mmHg)
(3) ステージ2:30mmHg(むくみ状況によっては+αを考慮)
(4)ステージ3:40mmHg以上(バンデージ)
形状の選択(上肢)
肩回りや手指の状況で、おおむね下図のように選択します。
形状の選択(下肢)
どのStageにおいても、MP関節(クローズトウはつま先)から症状のある部分をまたいで近位までが大原則。つまり「パンティストッキング」のタイプがスタンダードな選択になります。
《《《《《次回は「弾性着衣の採寸・装着方法と療養費支給」》》》》》
2016年1月25日(月)アップ予定です。
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